先生

私が中学三年生だった時の担任の先生は、二行の相談に三十行で返してくれる人だった。柔道部の顧問で、担当教科は数学。行事になると生徒以上に頑張ろうとする。あるとき、「どうしてそんなに頑張るんですか？」って聞いたら、「今年が最後かもしれないから。」本当は、先生は中学校じゃなくて小学校で先生をやりたいらしい。異動願いを出し続けているから、中学校の行事は今年が最後かもしれないとのことだった。この話を聞いて、中学で私たちと過ごすのは本当は嫌だったのかなって、少しショックだった。だけど、やりたい仕事じゃないのにこんなに真剣で、柔道経験なんてないのに一生懸命柔道部の顧問をやって文字通り骨まで折って、そのせいで一緒に修学旅行に行けなくて。器用なのか不器用なのか分からない先生のことが、大好きだった。「自由の裏には責任がある」卒業式の前の日に先生が言った言葉。噛み締めて、いつか、先生みたいな大人になります。