大人になりたくなかった
大人にはなりたくない。ずっとずっと子供でいいと思っていた。今までの人生で見てきた沢山の大人に憧れたことなんてない。大人は毎日怖い顔をして満員電車に乗っている。ちっとも楽しそうじゃないし、ため息ばかりで見てるこっちが嫌になる事も多々ある。私は今まで大人にそんな感情を抱いていた。ピーターパンのようにずっと子供のままでいいと本気で思っていた。そんな私の考えは、ある一人の大人によってガラッと音を立ててくずれた。その人は、大人なのに子供みたいだった。自分がおもしろいと思うことを純粋に楽しんでいる姿は、私の大人へのイメージと真逆の位置にあった。その人は、無邪気で子供のようだった。死んだように生きてる私の周りの大人達とは違う綺麗な目をしていた。その時、私は初めて大人に憧れた。私の「なりたい大人」それは、「大人」に縛られない真っすぐで純粋な大人だった。なりたい大人を見つけた時、私も大人になりたいと思えた。