なりたい

その日、学校からの帰り道にけがをして困っている人がいた。しかし、誰も声をかけなかった。前を歩く中学生も、大人も、そして私も。知らない人だったから。友達と一緒じゃなくて勇気が出なかったから。誰にも聞かれていないのに、いくつもの言い訳が浮かんでは消えた。家に着く頃には悲しさで胸がいっぱいで、自分に腹が立った。だから、私は他人を助けられる大人になりたいと強く思う。困っている人を見て見ぬふりしない大人に。