おおぞら高校
なりたい大人研究所
おおぞら高校

なりたい大人作文コンクール

最優秀賞

夢中の人

神奈川県 川崎市立宮内中学校 3年橋本 美紀さん

指揮棒が空を切る。今まで練習してきた成果を出し切ってやる、と私は必死に指揮棒をにらみつけながら、食らいつく。指揮者であり顧問の先生は、夢中の人だ。私たちは文句を言いながらもぐいぐいと引っ張られていく。夢中の人の引力はすごい。夢に向かっている今を駆け抜ける姿を私たちに見せつけ、気付いたら私も同じ夢を見ていた。私は将来の夢を今見つけることはできないけれど、夢中の背中を見せられるような大人になりたい。

(受賞者コメント)

最優秀賞に選んでいただきありがとうございます。
頑張る背中を、人に見せられるような大人になりたいと思って書きました。私はそんな大人に出会えて幸運です。
「将来の夢は何か?」と聞かれてもなかなか思い浮かばない私ですが、夢中になれることに打ち込めた時間は、私にとって一番の宝物でした。これからも、そんな時間を大切にしていきたいと思います。

(審査員より)

出だしから最後まで文章に勢いがあり、ぐいぐい読ませます。題名「夢中の人」である吹奏楽部か合唱部の顧問の先生に引きつけられていく筆者の姿が目に浮かぶようです。「将来の夢を今見つけることはできない」と素直な思いを吐露しつつも、こんな大人になりたいと言い切り、すがすがしい余韻を残します。