おおぞら高校
なりたい大人研究所
おおぞら高校

なりたい大人作文コンクール

気づく

神奈川県 川崎市立塚越中学校 3年田中ひよりさん

気づいたら、紙がくしゃくしゃになっていた。この応募用紙に夢を書いては消し、書いては消しを繰り返していたからだ。なんだか笑ってしまうけれど、これが今の私なんだ、とも思う。夢はまだないし、未来もぼんやり。わくわくも、どきどきも、きらきらも書けない。書けたのは、くしゃくしゃだけ。だけど、私は今楽しい。この楽しいを突き詰めて、仲良くなって、「自分らしさ」に変えていく。それが大人になるってことかとまたふと気づく。

(受賞者コメント)

優秀賞を受賞したと伺った際、最初になんでだろうと疑問が浮かびました。父から「素直な気持ちを書いたからだよ。」と言われ作品を読み返すと、そこには溢れる不安と小さな希望が書き記されていました。今の私にも、おそらく未来の私にも、そういうものはつきものです。だからこそ、これからも素直な気持ちで自分と向き合い、「なりたい大人」へと向かっていきたいです。改めてこのような賞をいただき、誠にありがとうございます。

(審査員より)

「なりたい大人」について真剣に考えたからこその気付きが、田中さんの正直な感情の動きと共に伝わってきます。「将来の夢」というとキラキラしているイメージを持ちがちですが、そのイメージと今の自分とのギャップを悲観するのではなく、楽しいと感じている今の自分を前向きに捉えています。「具体的な夢がなくても今の自分の楽しさを突き詰めていけばいい」と読み手も肯定するように感じました。