愛に満ちた人

生きていたら九十七歳の曾祖母から「おまじない」の極意を授かった母は、即興で「おまじない」をひねりだす能力に長けている。楽しそうに得意げな顔で優しく私にふれる。残念なことに私には曾祖母の記憶はないが、曾祖母から母へ、母から私への注がれる温かさは十分に伝わっている。「私は典型的なおばあちゃん子」と少女のようにはにかんだ笑顔で話す母を見つめながら、私は曾祖母のような人になりたいと思った。